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2017/10/04

モンクを聴く #1:Blue Note Sessions (1947 - 52)

Genius of Modern Music
Vol.1  Blue Note
1947年、モンク30歳の時のブルーノート・レーベル初録音に至るまでのいきさつと、その後の反響は、本書の「第10章」に詳しく書かれている。1947年9月、ダウンビート誌の記者ビル・ゴットリーブによるモンクとの初インタビューが行なわれ、同月「セロニアス・モンクーバップの天才(Genius of Bop)」という記事がダウンビート誌に掲載されたことによって、ビバップで脚光を浴びていたパーカーやガレスピーの陰に隠れ、それまで日陰の身に甘んじていたモンクが、バップの創始者として初めて世の中に広く知られることになった。直後にテナー奏者アイク・ケベックの仲介によって、モンクの自宅を訪れたブルーノートのアルフレッドとロレイン・ライオン夫妻が、それまでの売れない時期にモンクが書き貯めて来た、ビバップの先を目指した斬新な音楽を録音することをその場で決めた。

Genius of Modern Music
Vol.2  Blue Note
モンクの売り出しに奔走したロレイン・ライオンが名付けた「バップの高僧 The High Priest of Bop」というキャッチフレーズは一気に広まり、音楽家モンクのイメージもそれによって広く拡散した。ブルーノートは1947年に3回、1948年にはミルト・ジャクソン(vib)とケニー・ヘイグッド(vo)を加えたセッションで1回録音し、SP盤で売り出したものの、モンクのレコードは思うように売れなかった。1948年の4度目のセッションの後、マリファナ所持を理由に逮捕され有罪判決を受けた結果、キャバレーカードが1年間無効となったモンクは、ニューヨーク市内でクラブ・ギグができなくなり、人前で演奏する機会をほぼ失ってしまう。それでも、ブルーノートはさらに1951年、1952年に各1回、都合6回のセッションを設定した。懸命の売り出し努力と、あの時代にモンクとその音楽の真価を認めたライオン夫妻の慧眼にもかかわらず、結局ブルーノートはモンクを売り出すことができなかった。その音楽があまりに独創的で時代の先を行っていたために、要は大衆どころか批評家の理解と支持さえ得られなかったのだ。こうしてモンクはブルーノートを去り、1952年にプレスティッジと契約することになる。

Genius of Modern Music
Vol.3 Blue Note
下記ブルーノートの6回のセッション、全32曲(別テイク除く)のうち、7曲(たぶん)を除きあとはモンクの作品である。<ラウンド・ミッドナイト>、<ルビー・マイ・ディア>、<オフ・マイナー>、<ミステリオーソ>、<ウェル・ユー・ニードント>、<ストレート・ノー・チェイサー>等々、モンクの名曲の多くがこの時点で既に作曲されていることがわかる。初録音、若手メンバーということもあって演奏は少々荒削りで、後年さらに磨きをかけるモンク的な特長はまだ薄いとは言え、この時点で既にモンクの音楽の骨格はほぼ完成されていることがわかる。若さと、78回転盤の3分という録音時間の制約のために、逆にパワーが凝縮され、どの自作曲からもモンク作品の原石のような力強さと可能性を聞き取ることができる。何より、1940年代後半から1950年前後の時代に、このように斬新な音楽を創造していた天才に驚くほかない。これらは、まさに音楽家セロニアス・モンクの原点と言うべき録音である。

以下は「録音年月順」の6回のセッション記録である。これらの録音はこれまでLP、CDで何度も再発されていて、アルバム・ジャケットも収録曲も曲順もばらばらだが、いずれにしろブルーノートの現CD『Genius of Modern Music Vol.1/2/3』に分散して収録されているはずだ(もしくはComplete Blue Note Recordings)。

1) Sextet: WOR Studios, NYC, October 15, 1947
Idrees Sulieman (tp) Danny Quebec West (as) Billy Smith (ts) Thelonious Monk (p) Gene Ramey (b) Art Blakey (ds)  
  • Humph/ Evonce/ Suburban Eyes /Thelonious  
2) Trio: WOR Studios, NYC, October 24, 1947
Thelonious Monk (p) Gene Ramey (b) Art Blakey (ds)
  • Nice Work If You Can Get It / Ruby, My Dear/ Well, You Needn't/ April In Paris / Off Minor / Introspection
3) Quintet: WOR Studios, NYC, November 21, 1947
George Taitt (tp) Sahib Shihab (as) Thelonious Monk (p) Bob Paige (b) Art Blakey (ds) 
  • In Walked Bud / Monk's Mood / Who Knows / 'Round Midnight
4) Quartet: Apex Studios, NYC, July 2, 1948
Milt Jackson (vib) Thelonious Monk (p) John Simmons (b) Shadow Wilson (ds) + Kenny Pancho Hagood (vo) 
  • All The Things You Are / I Should Care / Evidence / Misterioso / Epistrophy / I Mean You
5) Quintet: WOR Studios, NYC, July 23, 1951
Sahib Shihab (as) Milt Jackson (vib) Thelonious Monk (p) Al McKibbon (b) Art Blakey (ds) 
  • Four In One / Criss Cross / Eronel / Straight, No Chaser / Ask Me Now / Willow Weep For Me
6) Sextet: WOR Studios, NYC, May 30, 1952
Kenny Dorham (tp) Lou Donaldson (as) Lucky Thompson (ts) Thelonious Monk (p) Nelson Boyd (b) Max Roach (ds) 
  • Skippy / Hornin' In / Sixteen / Carolina Moon / Let's Cool One / I'll Follow You